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【読書雑感】

細かな雨が降り続いているような錯覚に陥っていた。

そして窓の外の花は、その雨に打たれて震えていると。

僕は、読みかけの本をまだ読んでいる。

独り、部屋に寝転がってそれに没頭してみた。

物語はいよいよ佳境に入ろうとしていた。

主人公の苦しみは、全世界の哀しみを象徴しているかもしれないと、漠然と思ってみる。

物語の中で主人公は孤独すぎる。

「彼の自由と僕の自由」と呟いてみた。

書き手の自由と読み手の自由、と言い換えてみる。

どうしてそんなふうに言ったのか分からなかった。

目で文字を追っていて、音の無い世界に来ていると感じていた。

そう思っていたのに「作者の自由と読者の自由」などと呟いてしまったものだから、無音の世界が一気に破けた。

だけど、そこから僕は本当の世界に繰り出して行くんだと窓の外を見たら、

痩せた三日月が掛かっていた。

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